痛風(高尿酸血症)って何科?(前編)
痛風発作を経験したJさんは、大の魚好き、しょっちゅう海釣りにいって獲物をしとめていました。でも、痛風発作を経験してから、プリン体含有量一覧を自分で作成し、大好きなイワシの干物、白子、あんこうの肝、イカ、タコをつまみにするのをやめています。そんなJさんに、「そこまで制限しなくても、プリン体はその魚介類からじゃなく、体内から作られているんだしさあ。すべての元凶が魚介類っていうのはおかしいですよ!」と提案しても、「これでうまくいっているからやめられないわ、もう慣れちゃったしね」とぼろぼろになった一覧表を大事にしまいました。
痛風発作で緊急受診したKさんは、「痛、痛、またやっちまったよ!」と毎年のように、受診しては、消炎鎮痛薬処方し、軽快すると尿酸値低下薬を一度処方しただけで、通院しなくなります。今年も、Kさんが発作を起こしましたが、ちょうど当院休診だったので、整形外科を受診しました。整形外科の先生が、腫れた関節を穿刺し、尿酸結晶の存在を診断しました。「内科の先生にしっかりお薬をもらうよう」指導されました。今回は嫌気がさし、治療薬をしっかり飲もうと決心しての受診でした。
Kさんに、尿酸とプリン体の関連(前回のブログ『プリン(プディング)じゃない、プリン体(ぷりんたい)』の内容)を概説します。「尿酸値が高い」場合に、「痛風発作起こすから予防する」だけではなく、「酸化ストレスが心血管疾患・腎疾患の動脈硬化リスクを引き起こすから、そのリスクを下げる」ために、一緒に治療を続けようと話し合いました。それからのKさんは定期通院をして、定期的な血液検査でもガイドライン通り、再発予防の目標6mg/dL未満(さらに5mg/dL以下では痛風結節が早期に縮小するとされている)に維持されています。
そして痛風発作がない一年を過ごした自信から、節酒はもちろんカロリーオーバーにならない食事、2l以上の飲水、適度な運動と生活習慣も変えて、減量に成功し、投薬離脱しました。その後も、Kさんは、メンテナンス目的の採血評価で定期通院しています。
(続く)