在宅介護 その13 高次脳機能障害と診断されても(後編)

 食形態は、嚥下機能は問題なくとも連携行動ができないから、常食禁止。リハビリ病院から自宅退院し在宅介護始める時は、ミキサー食&とろみでした。(実は退院前に、ミキサー食調理を僕自身で数回作ってみましたがとても一人では継続できないと断念しました。)だから、日本介護食品協議会制定の「ユニバーサルデザインフード」マーク付きの介護食品をたくさん入手しました。もちろん、飲み水にも、うがい水にも「とろみ」を併用しています。それから日時が過ぎ、用意する介護食のマークが「かまなくてよい」、「舌でつぶせる」、「歯ぐきでつぶせる」とステップアップしていきました。
 さて、最終段階の「容易にかめる」まで到達し、数週間経過した頃の食事時間です。
 覚醒レベルが良いので、僕と同じ常食を出してみました。「よく噛むんだぞ」と声掛けし、咀嚼し嚥下した瞬間、彼女が「美味しい!」と発しました!これからずっと先(4か月後)に担当者会議があり、通所先の昼食も我が家の食事と同様の常食になりました。もちろん、突然閉眼し、咀嚼停止。常食になれば窒息リスクも高い。
 彼女は、器用にも水分だけを口腔内に貯めて、瞬時に停止。相槌を打ち良好な意思疎通を感じた矢先に活動停止。彼女が口を開けて「入っているよ」と見せてくれることもありますが、器用にそのままフリーズ。
 ある日、「昨日は口腔内にためて吐き出させたんだぜ」とジェスチャーを交え伝えたら、『ヤダあ!』と病前の彼女の豊かな表情で恥ずかしそうに答えました。それでも1分後、また咀嚼緊急停止、口腔内貯留維持。


 そうそう、まさに女優!突然渾身の演技が始まる。ただし、観客の僕だけが、ハッと我に返り、窒息予防行為に移ります。


 このように、内心ハラハラしながら高次脳機能障害に翻弄されつつ、リアルタイムをともに全身全霊で生きています。そのたびに、感謝しながら、ともに時間を過ごせています。

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