痛風(高尿酸血症)って何科?(後編)
抗酸化作用で超有名選手のビタミンCはご存じのように、貯蔵もできませんし、容易に消費され失われやすい性質です。もしかしたら、ヒトの進化の過程で尿酸が抗酸化作用の 役割をしていたかもしれないというストーリーは非常に魅力的です。(見つけた文献は60年以上前のものでしたが。)
残念ながら、尿酸は低い水溶性なので、尿路結石や痛風関節炎を起こし、心血管病変を惹起する、酸化促進物質であるとその後の研究で次々に判明されました。それでも、抗酸化作用を信じたい立場からは、「動脈硬化の自覚症状が発症するまで、しっかり抗酸化作用で体を防御してくれた結果」、すなわち「抗酸化作用を十分に発揮していたが動脈硬化の病勢に敗れてしまった痕跡」かもしれませんよね?うーん、自分で言っていても、ちょっと無理がありそうな気がしますが、、、。
さて、かつては「ぜいたく病」と揶揄された痛風も、患者数が増え、メタボリックシンドロームとの関連もわかってきました。生活習慣是正には、食事(カロリーオーバーにならない、プリン体と果糖を過剰摂取しない、アルカリ性食品を積極的摂取する)と、十分な水分(同時に飲酒制限)しかない。そして減量で尿酸貯蓄も減り、尿酸値も下がります。ただし、僕たち人間は尿酸を保持しやすいような体だから、習慣是正し付き合うしかないわけね。
最近、日本人の痛風患者では尿酸トランスポーターの一つであるABCG2という遺伝子変異の存在が報告されています。このトランスポーターは腎の尿細管で尿酸を分泌する働きをするだけでなく、小腸においても便中に尿酸を分泌しているそうです。この排出機構が作動しなくなれば、血清尿酸が上昇し痛風を惹起してしまうので、こればっかりは受け入れるしかありません。
最後に、皆さんは、「果糖」と痛風が関連あるって知っていましたか?果糖の成分であるフルクトースは、代謝の過程で尿酸を産生するので、アルコールを制限しても果物や清涼飲料水を取り過ぎたらまずいですよ。
さあ今日も、水分をしっかりとって診療している、チームSAIでした。