院長になるまで #5(最終話)

「僕が働きながら在宅介護?医業も在宅介護も両立?たとえケアマネージャーさんやヘルパーさんや友人がいても親族は一緒に住んでいないし、妻は高次脳機能障害・片麻痺・全介助だぞ!経験もないじゃないか?」悩みました。でも、妻本人、救急医療・回復期医療、社会福祉などすべての縁からの支えを頂けた以上、感謝しかありません。何より「ともに生きる」ことがどれほど貴重な余生かを実感しています。だから僕は、自らの判断で、心臓血管外科医を辞しました。

実際には、2022年9月初旬の転院面談直後、再就職先も決まっていませんでしたが、翌10月末での退職を決めました。職場の管理者、多職種チーム、所属大学医局、そして何より受け持ち患者さんに多大なるご迷惑をかけましたが、多くの方のご理解を頂け、新たなライフシフトに舵を切れました。

 考えてみると、僕と妻はまったくの他人でした。でも、長年連れ添った今、固い絆を実感します。夫婦間には、愛情・感情・人格・気・心・魂などが融合され、いつの間にか固い絆ができるのでしょう。理屈では説明できず、目で見ることもできません。この瞬間も進行形で作られている、折れない、固い絆です。僕は医師人生そのものをあらゆる場面で、この絆に支えられてきました。僕がどんなに不安でも、この絆(つまり連れ添い)にずっと守ってもらい、労ってもらってばかりでした。だから恩返ししたいです。

 こうして、2022年11月1日、僕のライフシフトを受け入れて下さった、サイ・クリニックで、管理医師を継承し、チームSAIの一員になりました。以上が、『院長になるまで』ストーリー(#1~5の長編)でした。

今後は、池辺町で医業も、在宅で妻の介護も、後悔せず、残された人生を皆様とともに全身全霊で向かい合っていきます。改めてよろしくお願いいたします。

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