24時間心電図検査(ホルター心電図)で見つかった睡眠時無呼吸症候群

 Lさんは、血圧がなかなか下がらず、当院なら血圧を下げられると信じて受診してくれました。腎機能障害も伴っており、なおさら厳格な降圧管理が必要でした。適切な降圧薬治療に変更して、ようやく適正血圧に到達し、腎機能も悪化せず維持できました。
 ある日、「ドキドキしたることはあるけど、疲れていただけかなあ。安静時心電図では不整脈が出なかったから、一度、24時間心電図検査(ホルター心電図)も評価してみましょうか、と提案しました。血液検査では、貧血なく、甲状腺機能も正常で、電解質異常もなし。疲れの原因には、不整脈を鑑別すべきだからです。
 
 当院で行うホルター心電図検査は、起床就寝のチェックを入れて、CVHR(Cyclic Variation of Heart Rate、睡眠時周期性心拍数変動)も計測します。ちょっと解説を。
 睡眠呼吸障害では、無呼吸・低呼吸の周期と同期し、心拍数が徐脈・頻脈を繰り返します。この周期性心拍変動パターンを計測し、入力された睡眠中1時間当たりに発生したCVHRの回数(CVHRI)を算出すると、睡眠時無呼吸症候群(SAS)における無呼吸低呼吸指数(AHI)と相関することがわかりました。
 さて、Lさんの不整脈は治療適応なしでした。が、CVHRIが30と高値でした。質問すると、『妻からも「いびきがうるさい、息が止まっていたわよ」と言われたことがあって、今は旅行も別室ですよ』とLさんは苦笑い。早速、睡眠時無呼吸の簡易精査を受け、睡眠時無呼吸症候群と判明しました。当院で通院しながら治療も開始しました。
 それから、倦怠感がなくなってきたLさん。「別室」事件をなぜ教えてくれなかったの?と伺いました。
「そりゃあ、血圧でお世話になっているけど、いびきは言ってもしょうがないし、、バツも悪いしさ、、」
「でもこれつけて快調だよ!日中の疲れもたまらないし、血圧もまた下がってきたよね!やってみてよかったわ」と満面の笑み。
 今日も皆で、良眠を心がけている、チームSAIでした。

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