「サイトカイン」が日常語に (前半 『細胞言語』)

 30年前に、医学部の基礎医学(細胞生物学)で、「いかなる生命も周囲の環境に適応している。では質問。個々の細胞においてはどうやってその情報を伝達しているのでしょうか?とても興味ありますよね?」みたいな、イントロを聞き、医学の基礎が始まるんだあと感激しました。
 基本的な流れは、細胞膜上や細胞質中の因子が次々にシグナルになる生理活性分子を受け渡し他の経路とも影響し合い(「クロストーク」)、最終的には核内へ伝わり、遺伝子転写から細胞変化(究極はアポトーシスと呼ばれる細胞死)などをもたらします。
 簡略しちゃうと、『細胞言語』。だって、情報発信細胞からシグナル分子発信するでしょ。それで、標的細胞が受容体を介し細胞内シグナルに変換し様々な応答するってことだから、まさに情報を言葉で伝達している感じ!
 ところが、細胞外シグナル伝達分子はファーストメッセンジャー(一次情報伝達物質)と呼ばれ、細胞膜を物理的に通過できません。そこで、セカンドメッセンジャー(二次情報伝達物質)と呼ばれる物質が、細胞表面で受け取ったシグナルを、細胞質や核内の細胞内標的分子に迅速に伝達する仕組みが解明されています。いやあ、本当に巧妙。
 このような、ターゲットを介し直にシグナルを伝達するのが生理活性分子と呼ばれ、ホルモン、オータコイド、神経伝達物質、サイトカイン、ビタミンなどが知られています。
 実際の学習では、もっともっともっと複雑な分類にさらに分類が加わります。例えば、伝達機構は、①細胞間シグナル伝達②細胞におけるシグナル分子の受容(受容体による認識)③細胞内シグナル伝達 と。そして①がさらに、(1-1)エンドクリン型(内分泌型)(1-2)パラクリン型(傍分泌型)(1-3)オートクリン型(自己分泌型)(1-4)細胞接触型(1-5)神経型(シナプス型)と。同時に①を構成成分から(1-0-1)タンパク質(1-0-2)ペプチド(1-0-3)アミノ酸誘導体(1-0-4)脂質(1-0-5)その他と、、、。
 話題のサイトカインは、この生理活性分子の一つにすぎません。が、とてもとても複雑な『細胞言語』です。
(続く)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

CAPTCHA