在宅介護 その11 健側(非麻痺側)は健康の時のままなの?

 麻痺側と健側(非麻痺側)という表現があります。妻は左片麻痺ですから、左側「マヒ」に対し右側「健」とされています。でも、健って?
 実際、『動く』ときは、自分の意思で動かす随意運動だけではなく、無意識に姿勢を安定させる(予測的)姿勢制御動作も行っているから動けるのだそうです!

 30年以上前の文献に、「脳卒中患者は健側とされる側の筋力低下も有しており、上下下肢ともに健常者の42.2~81.6%と著名に低下している」と。(大川ら 脳卒中患者の廃用性委縮に関する研究、リハ医学25:143-147, 1988)実際の患者さん達からも、「そりゃあマヒガワに比べればましだけど、こっちだって元と同じってわけじぇねえよ。」「マヒはねえ、ぶら下がっているだけじゃなくて、めちゃくちゃ重いのよ。鉛がついているのよねえ」と。ある人は、「足が棒になるっていうより、プールの中でずっと遊んでいて水から出た瞬間に体全部がどっと重くなるあれだなあ。まあ俺たちは四六時中ずっとだけどな」と。
 だから妻も右側の運動機能が一見あるようでも、バランスを整える姿勢保持能力は障害されているのでしょう。在宅リハビリでは、必ず姿勢保持訓練から始まります。2つの神経回路(姿勢制御の回路と随意運動の回路)を働かせるべく、「はい、右足に力を入れますよ。姿勢はまっすぐ前を向いて、そうです、そうです、目は正面ですよ、、、今度は右のオシリに力を入れて体重移動していきましょう、、そうです、そうです、、、ハイッ目を閉じないで、しっかり前を見て、、、体をまっすぐにしますよ、、」こんな姿勢保持だけでリハビリが終了してしまう時もあります。それだけ体力気力を消費するのでしょう。 

  高次脳機能障害や失語症さえなければ、集中力が維持でき従命動作も行え、もっともっとリハビリ拡大できるのになあと、思ってしまう場面です。(その瞬間、焦らない焦らない。『慌てず、諦めず、希望を持ち続け』ようって決めたじゃん。だって、生きているんだから!と吹っ切る日々ですが。)とにかく神経回路がつながっていけるよう、何でも試してみましょう。皆様も、何か見つかったらぜひ教えてくださいませ

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