プーと高血圧 (前半)

くまのプーさんWinnie the Poohじゃなくて、前回紹介したpooつまりウンチ関連の医業ネタです。

家庭血圧管理中のEさんは、便秘にも悩まれています。

冬場にいきめば急激な血圧上昇となり心配です。冬の朝は、臥床して起床(下半身へ血液が急激に移動)する血圧低下と寒冷による血圧上昇作用が、同時に起こります。さらに、寒暖差のあるトイレでいきんで排便となれば、瞬時に血圧上昇、直後は低下です。トイレは、排便後失神(一種の迷走神経反射)だけでなく、心血管破綻による突然死だって起こる場所でもあります。

さて、介護ブログ(『在宅介護 その3 1週間』)でも呟きましたが、今一度。

いきみは血圧を30~40(mmHg)程度上げます。息を止めながら腹圧を高め、横隔膜も腹筋もギュッと収縮。教科書的には、直腸内圧が40〜50mmHg以上になって便意を感じますが、それまで待たずに意図的に排便しようとするのがいきみですから、体への負担にもなりますよね。血圧の観点から分析すると、まず胸腔内圧が上がり、大静脈が圧迫され、静脈血が心臓に戻る量「静脈還流量」が減り、心拍出量が減ります。この瞬間は血圧が下がる方向です。ただ同時に代償反応つまり交感神経刺激が起こり、心拍数増加や血管収縮が起こるので、血圧が上昇する働きが追従します。次に、息を吐きだした瞬間は、胸腔内圧が下がる、つまり「静脈還流量」がいきなり上昇、心拍出量も増加。だから、血圧も上昇。このような急激な変化は、今度は迷走神経刺激を起こし、心拍数減少、血管拡張作用増強し、結果的に血圧が低下してしまいます。だから、ひどいと失神してしまいます。

ただし、「排便」するには、このような筋肉収縮ばかりなく、肛門括約筋は収縮でなく弛緩ですから、悪しからず。

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