『悪玉』が「動脈硬化」って言われても(前編)

もう17年前(2007年)に、日本動脈硬化学会ガイドラインで、「高脂血症」から「脂質異常症」に呼称が改められました。HDLコレステロール(俗に言う『善玉』)が低いリスクも「高脂血症」と呼ぶのは適当でないからです。つい「高脂血症」って言ってしまい、「脂質異常症」と言いかえることもしばしばですが。

その脂質(コレステロールや中性脂肪など)代謝異常が動脈硬化を促進させて、脳梗塞や心筋梗塞などを発症してしまう、と説明しますが、そもそも「動脈硬化」がイメージしづらい。

この動脈硬化のイメージを悪玉でつづってみたくなりました。大前提は、コレステロールとリポ蛋白質を混同しない!コレステロール自体は細胞膜やホルモンなどを作る材料で、体に絶対必要です。でもコレステロールはコレステロール単独では運ばれません。(エッ!総コレステロール値って採血項目にあるじゃん?)

コレステロールは、アポ蛋白と合体し、ほぼ球状の形になって、血管の中を移動します。この形(球状)になったコレステロールをリポ蛋白質と呼び、コレステロール運搬は、この球(玉)が血液の中を移動しているイメージです。くどいですが、「リポ蛋白質」という球(玉)の中心にコレステロールが入ってはいますが、球(玉)になったので「コレステロール」と言わず、「リポ蛋白質」と呼びます。

そして、そのリポ蛋白質の種類により、HDLコレステロール(高比重リポタンパク質、体内の血管壁にたまったコレステロールを肝臓に運ぶ役割から俗に『善玉』)やLDLコレステロール(低比重リポタンパク質、肝臓のコレステロールを体全体に運ぶ役割なのに動脈硬化の主犯格なので俗に『悪玉』)などと、合計5種類に分類されています。

前置きが長くなりました。それでは、『悪玉』の挙動を観察しましょう!繰り返しますが、悪いコレステロールではなく、低比重リポ蛋白質になった球(玉)ですよ。

(続く)

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