ドミノはドミノでもメタボリックドミノ!

 アメリカ留学中、ステーキもハンバーグもフライドチキンも、そしてドミノピザもおいしかった。本場は違うねえと回顧じゃなくて、医業ネタに戻ります。メタボリックドミノって聞いたことありますか?
 メタボリックシンドローム、通称メタボやメタボ検診は知っていますよね?でも、生活習慣の乱れがあれやこれやと結びつき、気づくとバランスが崩れ、病気になってしまう様をドミノ倒しに例えて『メタボリックドミノ』って聞いたことありますか?(伊藤 裕:メタボリックドミノとは―生活習慣病の新しいとらえ方―.日本臨床 61 : 1837―1843, 2003.より)。よく疾患を表しているネーミングだと敬服しました(そういえば、昔はドミノ倒しだけのテレビ放映がありましたねえ)。
メタボ検診は、腹囲でまず選別されるので、スクリーニングの役割は果たしていますが、腹囲基準を超えないリスク患者さんは個別に診察を提案しています。伊藤先生の論文では、メタボリックドミノの1枚目は、「肥満、特に内臓脂肪型肥満」。これが倒れると、2列目のドミノである「高血圧、高血糖、脂質異常など」に進んでしまいます。この段階が、メタボリックシンドロームと診断される段階です。それが倒れると、3列目のドミノ、つまり「心筋梗塞や脳卒中、末梢動脈硬化症、腎臓病などの臓器疾患」になってしまいます。治療介入しないと、やがて、最終列のドミノ、つまり「心不全、脳卒中、失明、腎不全などの致命的な合併症」となる恐ろしいサイレントキラーの流れを可視化しています。
 だから、1枚目を倒さないこと。もし倒れてしまっていたら、焦らず、その先のドミノを倒さないようにしましょう。「今までは元気」と思って過信しがちですからね。とにかく早い段階で生活習慣の改善はもちろん、必要に応じた薬物療法などの治療に積極的に取り組むことが大切です。
 今日も診察室では、ドミノを倒さないよう自分自身も闘っている、チームSAIでした。

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