在宅介護 その10 身体障害者手帳、申請なければ享受なし

現時点では、脳血管障害による後遺症で、肢体不自由を伴っている高次脳機能障害者は、肢体不自由によって身体障害者福祉法の対象となります。彼女は、「一般的に左脳損傷が失語症で、右脳損傷が左半側空間無視で起こりやすい」経験則と違い、右脳損傷で重度失語症となり、重度の高次脳機能障害者になってしまいました。(もちろん高度左半側空間無視と高度左片麻痺もあります。)高次脳機能障害で苦しんでいても肢体不自由が重度でなければ、精神障害者保健福祉法で補助を行う仕組みですが、身体障害者福祉法と比較するとその恩恵は少なく、実際に手帳を取得できる人もごく少数です。
役所の実務担当者は皆さん、文言を一つ一つ確かめて、適応があれば申請に労をいといませんが、文言が外れてしまったとたんに渋い顔になります。しかも、毎回切手を貼って、封書に書式と印鑑を押して、申請、受理という複雑で面倒な手続きです。デジタル社会、マイナンバーカード紐づけはまだでしょうか。

でも、いやいやもっともっと大切な、初めの一歩があったのです。

それは、そもそも介護人が上記補助制度を申請し、申し込まない限り、行政側からは手を差し伸べてくれません!審査にすら上がりませんから、なにより申請ありきです。これは滅茶苦茶盲点です。

ハンディキャップや障害でなく、ディスエイブルド(disabled persons)の啓蒙は知っていました。医学部の公衆衛生学で基本は習っても、医師になってからは、実務者の言われるままに書類を記入しただけでした。行政制度のアップデートを自ら行ったことなど皆無でした。「障害者基本法」があるから、税金をしっかり納入しているのだから、必要な公的サービスを受けれるものと安易に考えていました。

だから、申請なきものは享受できないなんて全く予想外でした。これもリアルワールドの在宅介護です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

CAPTCHA