在宅介護 その3 1週間(前編)

二日目は、彼女と二人っきり。24時間手を握ってべったりと思いきや、洗濯物や食事介助の後片付けや何やらで、慌ただしくて。食事介助もこわごわで。とにかく日が暮れるのは早かった。

三日目からは、デイサービスへ出発しました。契約したヘルパーさんたちが活躍しています。それをじっくり見て、いろいろな手技を盗み、まねて、質問しまくり。腑に落ちないことはメモにして、彼ら彼女らにしつこく教えを伺います。本当に頼もしい。ただ、平日だから僕も出勤日で、彼女の出発・帰宅する勇姿は実際には見れませんでした。

あっという間に1週間が過ぎました。ただ目の前のことを淡々とこなすだけで精一杯でした。彼女も傾眠がちで、彼女と僕の二人だけの、べったりまったりする至福の時はなかったなあ。

例えば、食事の実際。全介助の経口摂取ですが、僕の手料理では栄養バランスなど管理できず、市販の介護食を発注し、専用のトロミ剤を入れます。ただ、高次脳機能障害なので、食事介助中に集中が切れ眠っちゃう。本当に突然眠るので、その時は焦りました。

このまま食べてくれなかったらどうしよう。点滴もないから水分も薬も投与できないから。諦めかけていると、パっと目覚め、食べ始めてくれることが多いのですが。

あるときは、口の中に食事を運び咀嚼し嚥下していたのに、急に嚥下直前で眠ってしまいました。このまま目が覚めないで口腔内に食物残渣があれば当然窒息してしまいます!半端なく焦りました。もうちょっと待ったら飲み込んだと思いますが、待ちきれません。すぐ専用の大きな綿棒みたいなもので口を開け内容物を掻き出します。もう必死で、無我夢中で、その掻きだす行為に集中しました。本人は嫌だろうなあと、一行為が終わるたびに思います。「窒息が怖くて待ちきれないよ、悪いけど我慢してよ」、と声をかけています。そして、その覚醒する瞬間に手を握り一緒に生きていることに感謝するのを繰り返しています。
(続く)

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