在宅介護 その7 細胞の入れ替わりで回復して!(後半)

 それでは、脳細胞の知識を整理します。


 大脳の神経細胞数は約140億個と推定されていますが、この脳細胞自体は”再生しません”。でも細胞分裂しないなら、一生現役の長生き細胞と言えそうですよね?残念ながら、徐々に細胞死が起きます。実際、脳全体の大きさは25歳頃がピークで、その後年齢とともに徐々に小さくなります。細胞死のスピード(諸説あり)は、1日に約10万個。毎年0.5%程度は細胞死で脳が縮んでいる計算です。


 考えてみると、出生時の新生児の脳重量は約400g、成人の脳重量が1200〜1400gですから、細胞の数が増えないのに3倍以上!?重くなっています。これは、細胞の数ではなく、サイズが拡大し、細胞間のネットワークも増えるからです。また、脳の構成成分の半分は脂肪、特に高度不飽和脂肪酸が非常に多く含まれているそうです。さらに、脳の重さは体重のたった2%程度でも、脳のエネルギー消費量は約20%です。めちゃくちゃエネルギーが必要な臓器ですね。


 だから、残された脳神経細胞自身の数は増えないが、その信号伝達機能のある部位(一本の軸索や何本もある樹状突起)は成長する。つまり、神経情報伝達ネットワークが修復されれば(神経細胞間のシナプス結合が増えれば)、新しい神経回路が作られる可能性は十分ある!!そう、新しい体に入れ替わっているなら、新規の脳神経回路も作られますよね。今こそ、このダイナミックな躍動にその可能性を求めましょう。とにかくエネルギーが必要ですから、しっかり食べてもらい、しっかり休んでもらいましょう。


 『この一冊一読』に『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』(福岡 伸一 (著) 2009年)をお勧めします。

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