在宅介護 その7 細胞の入れ替りで回復して!(前半)

 医業ネタブログ(『人体の細胞数は60兆個でなく、37兆2000億個』)を綴っていたら、ふと10年以上前に外科系の全国学会総会で、福岡伸一博士の特別講演を聴講したことを思い出しました。福岡博士の講演の冒頭は、確か、「一年前の私と今日の私は分子的にいうと全くの別物で、そして現在もなお入れ替わり続けています」というアイスブレイクから衝撃的な内容でした。今でもそのスライドの絵を覚えています。この外科学会では、僕も演者として発表が決まっていたのですが、直前まで福岡博士の特別講演をしっかり聴けるよう、博士の著書を夢中で読み返していた思い出があります。早速、『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』(福岡 伸一 (著) 2009年)から著者コメントを一部抜粋させてもらいます。


「生命は、必死に自転車をこいでいる。追手から逃れるために。追手は生命をとらえて、その秩序を壊そうとたくらむ。(略)追手の名は、エントロピー増大の法則。輝けるものはいつか錆び、支柱や梁はいずれ朽ち果てる。(略)生命も、この宇宙の大原則から免れることはできない。しかし、エントロピー増大の法則に先回りして自らをあえて壊し、そして作り変えるという自転車操業を続ける限りにおいて、生物はその生命を維持することができる。私たちの身体において、たゆまず、けなげに自転車をこぎつづけているもの、それが動的平衡である。」


 今読み返すと、当時感じたものとは違う感想を抱きます。今は、彼女の体が生まれ変わり、日々新陳代謝を繰り返しているから、回復するはずという信念になっています。せっかくですから、介護ブログですが、脳の医学ネタも呟かせてください。
(続く)

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